入社25年(つまり四半世紀)以上のベテラン料理編集者3人が「うちごはん」について気ままに、赤裸々に語るリレー連載。個人的好み全開のオリジナルレシピのおまけつき。
この連載も回を重ねて五十回。何をご紹介しようかといろいろ考えたのですが、ここのところ、ずーーーっと食べたいな~と思いを募らせていた母の味「おかかバターしょうゆご飯」を久々に作ってみることにしました。レシピなんてないも同然、料理というのもはばかられるような一品ですが、私のおいしい記憶の最上位に位置する、とっておきなんです。
母はとっても料理が上手な人で、私が幼いころから、こまめにいろいろなものを作って食べさせてくれました。もともと食いしん坊な上に、毎日おいしい料理が食卓に並ぶという恵まれた環境下で育ったものですから、私の体は真ん丸コロリンと大きく成長。子どものころの面影を多分に残したまま、今にいたっております(汗)。
風邪をひき、四〇℃の高熱にうなされていたとしても、時間がくれば寝床から起き上がり「ご飯まだ~」と大声で催促する子どもってどんなものでしょう……。そんな大食漢のお腹を満たすために、ボリューミーなおかずを作りつつ、堅いものが苦手な祖父母のために、日々別メニューを用意していた母。その苦労を思うと、当時の自分に「病気のときくらい、大人しく寝てなさいよ」と言い聞かせたくなります(反省)。
というわけで、母の料理は基本的に手間ひまかけて作られているものばかりだったのですが、休日の朝ごはんに、たま~に食べさせてくれたお楽しみメニューが「おかかバターしょうゆご飯」。まずは、あったかいご飯におかかをパラリ。すかさずバターをのせ、溶けかけたところにしょうゆをさっと回しかければでき上がり。食欲をそそる香りがなんともいえず、このときばかりは「お行儀」なんて気にせずに、がーーっと混ぜてたちまち完食したものです。
いつも以上に瞳をキラキラ輝かせ、ご飯をかき込む娘の姿を母はどんな気持ちで見ていたことか……。娘のほうは、真面目な母が珍しく「あんまり感心しないこと」をいっしょにやらかしてくれているワクワク感で、胸がいっぱいだったような気がします。はしゃいだ気持ちが、おいしさに拍車をかけるみたいな……。母との思い出も込みで、忘れらない味になっているような気がするこの一品。柄にもないことを言ってなにげに赤面してますが、これからもときどき作って、母の子どもにかえる時間を味わいたいと思います。
うちには炊飯器がないので、ご飯は厚手の鍋で炊き、小分けにして冷凍しているのですが、今回は、おかかバターしょうゆご飯をおいしく食べたいがために、わざわざご飯を炊きました(笑)。炊きたてのご飯って、やっぱりおいしいですから。このへん妥協できない頑固さが、母譲りだなと思います(汗)。
炊きたてのご飯は、おにぎりにしてもまた格別。私は母に教わったとおり、塩をきつめにきかせて、ご飯が熱いうちにささっとにぎるようにしています。おにぎりをにぎったことに満足して油断していると、家庭内おにぎり争奪戦に敗れて悔しい思いをするので、自分のぶんだけこっそり取り分けておくようになりました(笑)。
オレぺのレシピを世に送り出しつづけているベテラン料理編集者4人が、これまで出会ったレシピの中から好きなもの、忘れられないものを自ら作って、撮って、語ります。
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