2021.06.07
入社25年(つまり四半世紀)以上のベテラン料理編集者3人が「うちごはん」について気ままに、赤裸々に語るリレー連載。個人的好み全開のオリジナルレシピのおまけつき。
再三再四の告白になって恐縮ですが、わたくし、お酒が大好きです。今から二年半ほど前、それまでの不摂生を反省し、老後を見据えてガラリと生活習慣を変えた際も、お酒だけはやめませんでした。お酒を飲みながらおいしいものを食べる時間が何よりの幸せで、数少ない趣味の一つ=飲酒と公言してはばからない私がお酒をやめるなんてムリ。これまでダイエットを目的に短期間徹底禁酒したことは何度かありますが、楽しみがない生活は長続きしないことを身をもって感じているせいか、日々の艱難辛苦を乗り越えて、おいしいお酒を飲むことこそ、自分にとって最高の健康法と思うようになりました(笑)。
そんな私が作るつまみは、お酒を飲みながら、あるいはほろ酔いでも、失敗なく作ることができるシンプルかつ簡単なものが基本。今回の「じゃがバター」は、まさに自分的気ままつまみの最高峰で、放っておけば、セイロがおいしく蒸し上げてくれるじゃがいもに、バターといかの塩辛をのせ、たーーーーっぷりとこしょうをひくだけの簡単さ。失敗のしようがない一品です。
唯一のこだわりは、じゃがいもをセイロで時間をかけて蒸すこと。ポテトサラダを作るときなんかは、電子レンジでチンしてパパっとがありがたいんですけれど、このじゃがバターを作るときは、なぜかセイロを持ち出してしまうんですよね~。とりあえずチーズをつまみにビールを一杯やりながら、ときどきいもに竹串を刺して火の通り具合を確認したり、トッピング用のねぎを刻んだり……。そんなふうにして「待つ」時間こそが、でき上がったじゃがバターを最高においしくしてくれるスパイス(?)だと思うんです(笑)。セイロから上がる湯気を眺めているだけで気持ちが落ち着くみたいな……。
特に残業後、夜遅い時間に台所に立ち、さて、つまみは何をとなったときに猛烈に食べたくなるのが「じゃがバター」。こんな時間に何のつもり? と自問自答することもあるけれど、普段のご飯を作るときとは違う気持ちで、自分のためだけに作るつまみって、どんなに簡単であっても、今日の自分へのごほうび、そして明日の自分の活力になるように思います。ただおいしいお酒を飲みたいだけって話もありますが(汗)。
今回はちょっと前にスーパーで買った新じゃがを、何個か余分に蒸しました。1個蒸しても、4個蒸しても手間は同じ。多めに蒸した新じゃがはポテトサラダにしたり、一口大に切ってオムレツにしたり。蒸しじゃががあるだけで、翌日のご飯の支度がぐっとラクになります。
セイロがあると、他の料理を作りながら、同時進行で蒸し野菜ができて本当に便利。ある日は皮をむいたなすを丸ごと蒸してから裂き、刻んだザーサイとごま油、塩を混ぜたたれをからめて、あえものにしたんですが、なすを蒸した後、卵をセイロにインして蒸し、ツナサラダも作ってしまいました。一度に何品も作る心の余裕が生まれるのは、ほったらかしにできるセイロを使うからこそだと思います。
オレぺのレシピを世に送り出しつづけているベテラン料理編集者4人が、これまで出会ったレシピの中から好きなもの、忘れられないものを自ら作って、撮って、語ります。
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