青梅を見かけると、初夏を感じますね。梅仕事をやってみたいけれど大変そうと思っている人には、まずは梅シロップから作るのをおすすめします。梅を買って仕込みが完了したら、7~10日漬ければ完成するので簡単。シロップになったら、さわやかなドリンクとして楽しむことができます。
目次
・梅シロップ(梅ジュース)作りで用意するもの・材料・青梅1kgで作る『梅シロップ(梅ジュース)』のレシピ・梅シロップ(梅ジュース)を作る時期は?
・梅シロップ作成時のポイント
・梅シロップのおいしい飲み方・アレンジ
梅シロップ(梅ジュース)作りで用意するもの・材料
梅を買ってくる前に、必要な道具がそろっているかまず確認しましょう。
〈道具〉梅1kgなら容量4ℓの保存びんがおすすめ
青梅と氷砂糖を漬け込むので、それらが入る大きさの保存びんが必要です。梅1kgなら、びんの容量は4ℓもあれば充分。外気が入らないよう、しっかり密閉できるものを選びましょう。シロップのでき上がりは1ℓくらいになります。
〈準備〉保存びんを消毒する
容器の消毒をします。容器は、透明の耐熱ガラスびん(写真左)のほか、ホーロー(写真右)でもOK。保存びんをよく洗って清潔なふきんで拭き、熱湯を注ぎ入れます。全体に湯がいきわたるように容器をぐるりと傾け、湯を捨てます(熱湯に触れないよう、やけどに注意して)。
自然乾燥をさせたあと、内側全体に食品用アルコールを吹きかけます。保存びんのふたの内側にも食品用アルコールを吹きかけておきましょう。
青梅1kgで作る『梅シロップ(梅ジュース)』のレシピ
準備ができたら、さっそく梅シロップ(梅ジュース)を作りましょう。青梅は1kg単位で売られているものがほとんど。今回は、青梅1kgで作るレシピを紹介します。
材料(作りやすい分量)
青梅……1kg
氷砂糖……1kg
りんご酢……大さじ2
しょうが(皮つき)……1かけ
シナモンスティック……2本
作り方
(1)梅のへたを取り、水に浸す梅のなり口のへたを竹串で取り除く。ボールに入れてたっぷりの水を注ぎ、30分以上浸す。
ポイント梅を水に浸すのは、汚れを落とすため。まれに梅の中に入っていた虫が出てくることもあるので、30分以上は浸しましょう。
(2)水けを拭いて、冷凍する梅をざるに上げて水けをきり、1個ずつペーパータオルでしっかり水けを拭き取って、フォークで3〜4カ所刺して穴をあける。冷凍用保存袋に入れ、1〜2日間冷凍する。
ポイント梅のなり口に水がたまりやすいので、しっかりペーパータオルで水けを吸い取りましょう。
(3)保存びんに入れるしょうがは洗って水けを拭き、皮ごと薄切りにする。保存びんに青梅と氷砂糖を、1/3量ずつ交互に重ねる(いちばん上に氷砂糖がくるようにする)。
ポイント梅の上に氷砂糖がのっていないと、エキスが出にくくなります。びんにはまず梅を入れて氷砂糖を重ね、いちばん上に氷砂糖がくるようにして。
(4)りんご酢とスパイスを加える保存びんにりんご酢を加え、しょうがとシナモンスティックを差し込み、ふたをする。直射日光の当たらない涼しい場所で、一日1回かるく揺すりながら、氷砂糖が溶けるまで1週間〜10日おく。
氷砂糖が完全に溶けたらでき上がり。
「梅シロップの」レシピを動画でもチェック!
梅シロップ(梅ジュース)を作る時期は?
産地によって梅が出回る時期は少しずつ異なりますが、5月下旬に青梅から始まり、続いて完熟梅が出るようになり、7月まで出回ります。その年によって時期はずれますし、出回る量も異なるので、店頭で見かけたら、余裕を持って購入しておくのがよいでしょう。梅は冷凍しておけば、梅シロップの仕込みはいつでも好きなタイミングでできます。
いつまで楽しめる?梅シロップの保存方法・期間
シロップができ上がったら、梅やスパイス、しょうがを取り出し、消毒をした容器(消毒方法は、保存びんと同じ)に移して冷蔵庫で保管します。1〜2カ月で使いきるようにしましょう。
冷凍した青梅の保存期間・活用方法
冷凍した青梅は、半年くらい保存できます。ワタナベマキさんは、青梅が旬の時期に1kgの冷凍パックを何袋か作ってストックしておくそう。
「冷凍してすぐにシロップにする必要はないのです。私は青梅が出てきた! というタイミングでとりあえず冷凍をして、時期をずらして少しずつシロップにして、秋ごろまで楽しんでいます」(ワタナベマキさん)
梅シロップ作成時のポイント
〈梅の選び方〉青梅と完熟梅の違いは?
青梅は、熟しきっていない若い梅の実。まだ果肉が堅いので、梅干しよりも梅シロップや梅酒に向いています。
完熟梅はその名のとおり、完熟した梅の実です。黄色やオレンジ色をしていて、実が青梅より柔らかいのが特徴。梅干しや梅ジャムに向いていますが、完熟梅で梅酒や梅シロップを作ってもOKです。
「青梅は、青くさわやかな香り! 完熟梅は、濃厚で華やかな香りがあり、風味も豊か。私はどちらも大好きです。今回は青梅のシロップを作りましたが、もちろん完熟梅でも梅シロップは作れます。青梅とはまた違う香りが楽しめますよ」とワタナベマキさん。
梅の実のよしあしはどうやって見分ければよい?
梅の表面を見て、傷がついて色が変わっている部分をよく観察しましょう。さわってみて、ぶよぶよと柔らかくなってしまっているものは除きます。色が変わっていても、果肉が他の部分と同じ堅さなら大丈夫です。
よい状態の青梅。傷やしみが少なく、実が堅くて張りがあり、きれいな緑色をしている。
悪い状態の青梅。傷やしみがある部分をさわるとぶよぶよと柔らかい。
梅シロップのおいしい飲み方・アレンジ
梅シロップができ上がったら、水や炭酸水で割って飲みましょう。
「シロップ1:炭酸水3くらいの割合がおすすめですが、試してみて、自分の好みの加減に調節してください。梅風味の甘いシロップと考えて、紅茶の甘みづけに使ってもいいですね。かき氷のシロップとして使ってもおいしいですよ」(ワタナベマキさん)
【梅シロップアレンジ1】キューブアイスに梅シロップを使って、おいしいスイーツにアレンジするのもおすすめです。
1つ目はキューブアイス。梅シロップ2:水1の割合で混ぜて製氷皿に等分に入れ、薄い輪切りにしたレモン(国産)1~2枚を小さくカットし、1切れずつ製氷皿に入れたら、冷凍庫で2~3時間冷やし固めます。レモンを入れると見た目もきれいになりますし、酸味も感じられてよりおいしく食べられます。
【梅シロップアレンジ2】ところてんの黒みつ代わりに梅シロップをそのまま、ところてんのみつ代わりにかけるのもおすすめ。梅シロップは果物と相性がよいので、季節の果物をいっしょに添えるのもよいでしょう。ここではプラムをのせています。
取り出した梅の活用方法
梅シロップ完成後に取り出した梅はエキスが出てしまっているので、そのまま食べてもあまりおいしくありません。
「香りはいいので、私はしょうゆ味の鶏肉の煮ものに風味づけとして入れたりしています。また、取り出した梅をしょうゆに漬けて、香りじょうゆにするのもおすすめです。そうめんのめんつゆに入れたり、炒めものの味つけなどに使うのも合いますよ。清潔なびんに入れておけば、常温で置いておけます。使いきりやすい量で作ってください。いっしょに漬けていたしょうがは、ドリンクを飲むときにいっしょに食べても」(ワタナベマキさん)
もし発酵したら?
梅シロップのびんを温度の高いところに置いておくと、白い泡が出てくることがあります。これは発酵してしまった印です。
「発酵しても飲めますが、味や風味は変わってしまいます。梅を取り出し、シロップを鍋に移して一度煮立たせ、発酵を止めましょう。さめたら、消毒をした保存容器に移して冷蔵庫へ入れてください」(ワタナベマキさん)
梅シロップのさわやかな香り、甘みと酸味は、暑い夏にぴったり。体がシャキッとして元気になれます。ぜひ作ってみてください。
教えてくれたのは……ワタナベマキさん
グラフィックデザイナーを経て料理家に。センスあふれる食材や調味料の組み合わせで、簡単においしく作れるレシピが人気。毎年20kg以上の梅を取り寄せ、梅シロップや梅干しなどたくさんの梅仕事をしつづけている。
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