2021.03.29
入社25年(つまり四半世紀)以上のベテラン料理編集者3人が「うちごはん」について気ままに、赤裸々に語るリレー連載。個人的好み全開のオリジナルレシピのおまけつき。
春到来。さやつきのグリーンピースを目にすると、無性に食べたくなる料理があります。それは作り方も味も極めてシンプルな「チエさんの豆ごはん」。チエさんというのは、大学進学を機に実家を離れるまで、ずっといっしょに暮らしていた父方の祖母のこと。つまり今回紹介する「豆ごはん」は、私にとって今も恋しい「おばあちゃんの味」の一つなんです。
主役となるグリーンピースを畑で収穫。納屋に新聞紙を広げ、さやから豆を取り出すところから「チエさんの豆ごはん」作りは始まります。形も大きさもふぞろいなさやから、淡々と豆を取り出す作業がなぜだかとても楽しくて、私もたびたび「お手伝い」したっけな~。チエさんの指先のゴツゴツした感じとか、みるみる豆の山ができる様子とか……。今も懐かしく思い出します。
さやから豆を取り出したら、私の任務は完了。あとはおいしい豆ごはんが炊き上がるのを、ワクワクしながら待つだけです。炊きたての豆ごはんの香りを察知するやいなや、迷わず台所へ一目散。「熱いけん、ヤケドせんようにの」と言われながら、一口、二口……。だれよりも先につまみ食いさせてもらうのがうれしかったな~。思えば当時から、食いしん坊だったんですね、私(笑)。
じつは豆ごはんは母も炊いてくれたし、それはそれでおいしかったんですけど、何しろチエさんのそれは塩かげんが絶妙。豆とご飯の甘みを引き立てつつ、味もしっかり決めるその塩梅は、母もまねできない特別なものだったように思います。
チエさんが亡くなって、早十年。「分量や言われても困るけど、塩はちょっと多いかいのと思うくらいでちょうどええ」。チエさんのそんな言葉を思い出しながら、今年も炊いた豆ごはん。チエさんの味にはまだまだ遠く及ばないけれど、去年よりもいくぶんおいしく炊けた気がします。あ~、チエさんに味みして欲しいな~(涙)。
さやから取り出した豆のみを売っていることもあるけれど、このごはんを炊くときは、やっぱりさやつきのものを買ってしまいます。さやから豆を取り出す作業も込みで、「豆ごはん」作りなんで。
この豆ごはんを炊いたときのみ登場するといっても過言ではない、わが家のおひつ。おひつに移し、しばらくおいた豆ごはんがまた、おいしいんですよ。朝炊いて夜。夜炊いて朝。豆ごはんがあると思うと、いつも以上にご飯の時間が楽しみになります。
オレぺのレシピを世に送り出しつづけているベテラン料理編集者4人が、これまで出会ったレシピの中から好きなもの、忘れられないものを自ら作って、撮って、語ります。
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