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市川染五郎さんインタビュー「夢は大きいほうがいい。一生追い続ける事ができるから」

2025.01.16

歌舞伎俳優　市川染五郎さん

秦基博さん「今日は歌を作れそうだ、と思える瞬間。それをキャッチできる自分でいたい」

歌舞伎俳優　市川染五郎さん

いちかわそめごろう／2005年、東京都生まれ。09年に「門出祝寿連獅子」で初舞台。以来、歌舞伎の舞台で研鑽を積み、18年、八代目市川染五郎を襲名。22年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、24年「鬼平犯科帳本所・桜屋敷」など映像作品にも出演し、注目を集める。
市川染五郎のご紹介｜松本幸四郎オフィシャルサイト　 Instagram

夢は、かなえられないくらい大きいほうがいい。
一生、追いつづけることができるから

「歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼」で、物語のカギとなるシュテン役を演じている市川染五郎さん。

「何度も映像を見てきた大好きな作品。出演が決まったとき、ついにこの日が来たか！　と。劇団☆新感線さんのつくる世界へのあこがれも強かったですし、そこに自分が入れると思うとうれしくて。演劇としても傑作、芸術としても傑作。衣装やメイクもすばらしいんです」
　
過去に父の松本幸四郎さんが演じ、絶賛を浴びた主人公ライは、悪の魅力あふれる人物です。

「再演が決まり、父のライを生で見られることも楽しみでした。父のすごさをあらためて思い知らされる作品なんです」

尊敬する父は「稽古場も家も変わらない存在」と語ります。

「父いわく、僕にスイッチの切り替えは無理だから、って（笑）。お互い歌舞伎が好きで、その道で生きていく。師弟関係というより、〈好き〉を共有し、尊重しあえる親子関係のように感じています」

受け継ぐ芸に精進を重ね、今年は人間国宝の坂東玉三郎さんの相手役を務めるなど、大舞台で輝きを放ってきた染五郎さん。

「つねに次の舞台が待っていて、これまででいちばん芝居と向き合った一年になりました。この作品に出て〈これを学んだ〉〈これを得た〉という具体的な意識ではなく、一つ一つの経験が身になり、染五郎という役者の要素を作っていく。初舞台から15年。今日まで、やってきたことのすべてが、次につながっていくと感じています」

古典も、新作も、基本は演出家がいない歌舞伎。「役者自身が作品全体のことまで考える。そこも自分にはおもしろい」と語ります。

「古典ではまずは教わったことをきっちりとやり、新作は役の性根から演者が作っていく責任がある。古典も新作も、〈心〉を積み上げていかないと見せかけだけになってしまうんですよね」

歌舞伎の名門・高麗屋に生まれ、今年で20歳に。

「夢は高麗屋らしい役者になること。夢ってかなえる自信があることより、漠然と大きいほうがいいな、と。〈高麗屋らしさ〉とは何か？　一生かけて考えながら、追いかけていきたいと思っています」

市川染五郎さんイチオシ！

映画「ジョーカー」

U-NEXTにて配信中

映画館でも配信でも何度も見ました！

バットマンの悪役、ジョーカーの誕生秘話を描いた一作。コメディアンをめざしていた青年アーサー（ホアキン・フェニックス）が、狂気をはらんだ悪に変貌していき……。「ダークな世界が理屈抜きで魅力的。幼いころからバットマンより悪役のジョーカーが好きだったんです」。

これに注目！

「歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼」

作／中島かずき
演出／いのうえひでのり
出演／松本幸四郎、尾上松也、市川染五郎、尾上右近、坂東彌十郎ほか
2月4日から25日まで博多座で上演。

「劇団☆新感線」×歌舞伎が融合したドラマチックな舞台。イチノオオキミ（坂東彌十郎）の王座をねらい、舌先三寸で人をだまし、のし上がっていくライ（松本幸四郎、尾上松也のダブルキャスト）。隣国の主・シュテン（市川染五郎）との出会いは、破滅へのきっかけだったのか⁈　シェイクスピアの「リチャード三世」を下敷きにした栄光と破滅の物語。