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秦基博さん「今日は歌を作れそうだ、と思える瞬間。それをキャッチできる自分でいたい」

2024.12.27

ミュージシャン　秦基博さん

はたもとひろ／1980年、宮崎県生まれ・横浜育ち。「鋼と硝子で出来た声」と称される歌声と叙情性豊かなソングライティングで注目を集める一方、多彩なライブ活動を展開。2014年、映画「STAND BY ME ドラえもん」の主題歌「ひまわりの約束」が大ヒット。その後も数々の映画、CM、TV番組のテーマ曲を担当。今年11月、コラボレーションアルバム「HATA EXPO-The Collaboration Album-」をリリース。
秦基博 Official Web Site　X:@hata_official　Instagram

「今日は歌を作れそうだ」と思える瞬間。
それをキャッチできる自分でいたい

透明感のある歌声と、日常の何気ない情景や感情をすくい取るソングライティングで、幅広い世代の共感を呼んでいる秦基博さん。話題のコラボレーションアルバム「HATA EXPO -The Collaboration Album-」の制作エピソードを明かしてくれました。

スピッツの草野マサムネさんとの楽曲「ringo」は、恋に落ちたときの〈はち切れそうな〉思いが詰まったラブソング。作曲は秦さんで、歌詞は草野さんといっしょに作り上げたといいます。

「10代のころからあこがれつづけてきた存在で、スピッツ主催のイベントにも何度も参加させてもらいました。そんなご縁もあり、思い切ってオファーしてみたんです。歌だけでも参加してもらえたらという思いでしたが、『歌詞もいっしょに書こうか』と言われ、それはもう、胸が高鳴りました」

まず、曲のテーマとなるサビの歌詞を秦さんが提示し、草野さんが最初のブロックの歌詞を、その続きを秦さんが……といったぐあいに進めていったそう。

「自分が提示した『ringo』の世界に、マサムネさんがどんな歌詞をのせてくるのか、とても楽しみでした。『ショボい人生の……』という歌い出しがメールで来たときの感慨たるや。それに続く歌詞を考えるのも、楽しくてしかたなかったです。マサムネさんの言葉に導かれ、一人では出てこないようなフレーズも浮かんできたりして。コラボの醍醐味を満喫しました」

こうした楽曲制作やライブを続けながら、また新たな作品をつくり出す。秦さんは創造力をどうやって維持しているのでしょう。

「曲を作るときは自分の内面に入り込むモード、制作期間以外やライブのときは自分を開放するモードになって、外界とコミュニケーションをとっていく。その繰り返しでエンジンを回している感じですね。インスピレーションは、人との対話や本、アートなどの体験を通じて自分の中に蓄積され、あるときふと『今日の自分は歌を作れそうだ』と思えるときが来る。その瞬間をキャッチできるかどうかが大事だと思っています。創作は苦しみも伴いますが、ふだんの暮らしも含め、そのプロセスを楽しめる自分でいたいですね」

秦基博さんイチオシ！

『そんな言葉があることを忘れていた』

言葉の持つ力と可能性を再認識

又吉直樹さんとともに自由律俳句作家として活躍する著者初の単独句集。郷愁の極北をゆく全320句を掲載。「日常の中にある何気ない景色の切り取り方や、飾らない言葉の選び方、その組み合わせ方が新鮮で、何度もハッとさせられ、いい刺激をもらった一冊です」。

これに注目！

「HATA EXPO-The Collaboration Album-」

通常版3300円／ユニバーサルミュージック

秦基博が心から敬愛し、その音楽性、作品性に深く心揺さぶられてきたアーティストとの豪華なコラボレーションアルバム。草野マサムネ（スピッツ）、sumika、TOMOO、又吉直樹（ピース）、リサ・ローブ、ハナレグミ、back numberと小林武史、土岐麻子、ストレイテナー、KANの計10組との共作曲を収録。