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どうする?どうなる?老後の4K

80歳になる認知症の母が施設への入所を拒否。悩んでいます。【今村翔吾さんが回答/老後の4K】

2023.06.16

超高齢社会を迎え、「人生100年時代」といわれる現代。
だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。
各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。

今回のお悩み/介護

施設への入所をいやがる認知症の母。
どうやって説得すれば?

80歳になる認知症の母を自宅で介護しています。昨年、母が要介護3となり、私のほうも体力的・精神的に自宅介護の限界を感じはじめたため、施設への入所を決めました。ところが、いよいよ施設に入る段階になって母が入所を拒否。「聞いてない」「見捨てられた」「私はじゃま者なんだ」とパニックになり、家族に暴言を吐いたりします。もちろん施設への入所に関しては、家族やケアマネジャー、施設の職員が何度か説明していますが、どうやら覚えていない様子。このまま強制的に施設へ入所させていいものか、悩んでいます。
(55歳・女性)

今村翔吾さんの回答

お母さまのことも大事ですが、「自分の身を守ること」を最優先に考えてください。

ふきだし
お悩み回答者

今村翔吾さん

これは、うちの叔母が相談してきたかと思うくらい状況が似ていたのでびっくりしました。叔母は65歳なのですが、叔父の死後、一人で10年以上祖母の介護をしてきたんですね。ここ何年かはいわゆる「老老介護」※1の域に入ってきて、もう自分で介護をするのは限界だと。施設に入れてもいいかという相談があったんです。

疲れきった叔母の顔を見て、僕はこう伝えました。「一刻も早く自分の身を守ってほしい」と。叔母もこのかたも非常に愛情深くて、「できるかぎり自分の手で介護したい」と思っているからこそ葛藤があるし、罪悪感もある。でも、施設に入れることは、「見捨てる」ことでもなんでもないし、母親との思い出、情、縁を切ることでもありません。むしろ罪悪感や葛藤があるのは、今まであなたが頑張ってきたあかし。頑張っていなければ、罪悪感なんて生まれないですから。最終的な判断は、自分を優先させましょう。あなたにはあなたの人生があるということを忘れないでください。人間というのは、いつの時代も次の世代を優先させることでつないできたんです。

いちばん怖いのは、このまま共倒れになってしまうこと。あなたが倒れたら元も子もありません。今は判断がつきにくい状況にありますが、きっとお母さまも、わが子が自分の介護で大変な思いをするのは避けたいと思っているはずです。介護の形がどのようなものであろうと、あなたの愛情はきっと伝わります。

※1 キーワード:老老介護
高齢者の介護を高齢者が行うこと。おもに65歳以上の高齢の夫婦や親子、きょうだいなどのどちらかが介護者であり、もう一方が介護される側となるケースをさす。

今村翔吾さん
作家。1984年、京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(祥伝社文庫)でデビュー。『八本目の槍』(新潮文庫)で吉川英治文学新人賞、『じんかん』(講談社)で山田風太郎賞、『塞王の楯』(集英社)で第166回直木賞を受賞。「N スタ」(TBS系)など報道番組のコメンテーターも務める。
平野ノラさんの回答を見る
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『オレンジページ』2023年5月17日号より)

取材・文/太田順子 イラスト/松元まり子

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