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どうする?どうなる?老後の4K

母の死後、一人暮らしの老父の食事。娘としてどうサポートしたらいい?【伊藤東凌さん】

2025.03.04

超高齢社会を迎え、「人生100年時代」といわれる現代。
だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。
各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。

今回のお悩み/介護

料理ができない一人暮らしの父。
栄養不足が心配です。

母の死後、実家で一人暮らしをしている78歳の父。料理をほとんどしてこなかった世代もあってか、ふだんの食事は、スーパーのお総菜を買ってきたり、おつまみとビール、パンやお茶漬けなど簡単なものですましている様子。私から見たら、かなり栄養がかたよっていて心配になります。仕事が休みのときに、私が作ったものを届けても、食が細くなっているのか、あまり食べてくれません。高血圧の薬をのんでいますが、今のところそれ以外はとくに体に問題はありません。
(55歳・女性)

伊藤東凌さんの回答

配食サービスを積極的に利用してください。食欲のなさの裏に隠れている「孤独」にも目を向けましょう。

ふきだし
お悩み回答者

伊藤東凌さん

一人の食事は簡単なものになりがちですし、まして料理経験が少ない高齢男性であればなおさらです。平日働いている娘さんにできることといえば、宅配弁当や調理代行などによる配食サービス※1を利用することでしょうか。栄養面の心配が解消されるのはもちろん、見守り(安否確認)としての役割や、人とコミュニケーションが図れるメリットがあります。

高齢者のなかにはそういった配食サービスに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、最初はだれかが訪問することにわずらわしさを感じていても、わずらわしいなりにいい刺激になるんです。今は高齢者向けの配食サービスがたくさんありますから、一度調べてみるといいと思います。

じつは私がいちばん気になったのは、「私が作ったものを届けても、あまり食べてくれない」という一文。通常、娘さんが作ったものであれば喜んで食べてくれるはずですが、それを残してしまうところに、お父さんの孤独感やさみしさを感じ取ることができます。栄養面だけでなく、心理面のケアも必要かもしれません。

たとえば、作ったものを届けるだけではなく、その場で作っていっしょに食べる、外に連れ出して外食する、お父さんの友達と食事会をセッティングしてあげるのもいいでしょう。やはり、一人だけの食事はどこか味気ないもの。孤食※2ではなく、だれかと話しながら食べる〈共食〉の機会を意識的に設けるようにしてください。

※1 高齢者向け配食サービス

調理ずみの食事を自宅まで届ける「宅配弁当」、ホームヘルパーや家事代行が自宅に訪問して食事を作る「調理代行」のほかに、地域の集会所などを会場にして、自治体や福祉協議会が調理ずみの食事を提供するサービス、デイサービス施設による昼食の提供など種類もさまざま。

※2 孤食

週の半分以上、一日のすべての食事を一人で食べている状態をさす。農林水産省が行った「食育に関する意識調査(2017年)」によると、孤食をすることがほとんどない人は、孤食の頻度が週2日以上ある人に比べて、食事内容のバランスがよい傾向がみられたという。


伊藤東凌さん
臨済宗建仁寺派「両足院」副住職
1980 年生まれ。坐禅と瞑想の指導、アート展の企画など活動は多岐にわたる。最新刊は『忘我思考』(日経BP)。メディアプラットフォームnoteにて「医師と僧侶のカケコミ相談室」をスタート。音声メディアVoicyにて「とうりょうさんの寺子屋ラジオ」を配信中。
安藤優子さんの回答を見る

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『オレンジページ』2024年8月17日号より)

取材・文/太田順子 イラスト/松元まり子

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