さまざまなジャンルで活躍している「あの人」にフィーチャー。今、向き合っていることや日々の暮らしなどについて語っていただきます。 インタビューの記事はこちらもチェック
2023.04.07
ジェーン・スーさん「今年の課題は休むこと。だれもが疲れた社会では、互いをいたわることもできなくなるから」
かわかみ みえこ/大阪府生まれ。2008年『乳と卵』(文藝春秋)で芥川賞、10年『ヘヴン』(講談社)で芸術選奨文部科学大臣新人賞および紫式部文学賞、19年『夏物語』(文藝春秋)で毎日出版文化賞など受賞多数。『夏物語』は40カ国以上で刊行が進み、『ヘヴン』の英訳は22年ブッカー国際賞の最終候補に選出された。23年2月『すべて真夜中の恋人たち』(講談社)の英訳が全米批評家協会賞最終候補にノミネート。 Instagram 公式HP
どんな境遇でも、
全力で生きているだれかがいる。
必死で生きている
エネルギーを書きたいんです
ノンフィクションでも、絵空事でもない。真実を宿した小説で私たちを魅了する川上未映子さん。
金と住居がないと生きられない現代日本の様相を鮮明に描き、新聞での連載中から話題となった最新作『黄色い家』が刊行されました。
「社会問題に接続する小説は、テーマ性からとらえられがちですが、小説ってテーマだけじゃないんです。生きてる、って生活しているってことだから、登場人物の感情とか生活とか、ディテールのやりとりが大事で。買っておいたアイスを同居のだれかが食べちゃったとか、そういうことで爆発したり、なだめたり。クリティカルな状況でも人間っておもしろい。いろいろな登場人物も楽しんでいただけたらうれしいですね」
主人公の伊藤花はきまじめで働き者。少女の花が生活のために闇社会とかかわっていく展開にハラハラしますが「格差社会に苦しむ人のかわいそうな物語としては書いていない」と語ります。
「だれかの人生を不幸や不運とは言いたくないし、まともに生きようとしても、その方法がわからない人はいつの時代もいるんですよね。描きたかったのは、どんな状況でも生き抜こうとするエネルギー。日々のドタバタを全力で生ききっていくエネルギーを感じてほしいと思いながら書いていました」
頼りない母や友人のしりをぬぐい、自分の支えは金と占い。〈シノギ〉を請け負ってまで〈家〉を守ろうとする花は、〈親〉の役割を担っているかのよう。
「花ちゃんは子どもとして生きたことがないのかも」と川上さん。同世代の桃子と蘭、母の友人の黄美子さんの4人で疑似家族のように過ごした〈黄色い家〉の暮らしはある結末を迎え……。
書籍化にあたって加筆したラストシーンのセリフは、ご自身が確信した花の思いを読者に明確に伝えたくなったからだそう。
「小説を何のために書いているのか。自分でも本当のところはわからないんです。こんなに文字ばっかり書き連ねて(笑)。温かいごはんとは違って、小説ってある意味ではなくてもいいもの。でも、拾ってでも小説を読まないと今日という日を生きていけないという人がいらっしゃるのも確かで。読んでくれたかたの胸に何かが残ったなら、それだけで幸せです」。
ティーブレイクにはごぼう茶やホット麦茶を飲むことが多いという川上さん。仕事場で愛用しているマグカップがこちら。「『ジノリ』の前を通りかかったとき、おばあちゃんの使っていたのに似てる! って目に留まって。このカップを使うと、大好きだった祖母の姿を思い出し、気持ちが温まるんです」。
ネットニュースの小さな記事で、監禁・傷害の加害者となった黄美子さんの名前を見たとき、花の脳裏に20 年前の日々がよみがえる─。1990 年代の東京、居場所も経済力もない3 人の少女と、年だけは大人だった黄美子さんは、なぜともに暮らし、なぜ解散したのか。金、家、犯罪、そして記憶の真贋とは? 人は何によって生きていくことができるのかを問う傑作長編。
(『オレンジページ』2023年4月17日号より)
撮影/鈴木康史 取材・文/待本里菜
・2023年3月現在の情報です。・価格は、特に記載のない限り消費税込みの価格です。改定される場合もありますので、ご了承ください。
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