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調理室池田「季節の特別企画・夏の果実をふんだんに」vol.1〈あんず〉とっておきのジャムを煮る

2024.07.05

どれだけ待ちどおしく市場の青果に通っていたのだろう。初夏から夏にかけ、日々初物の果実が店先に並ぶ様子は市場にいる楽しみの一つでもあります。ブルーベリー、アメリカンチェリー、マンゴーで初夏を実感し、5月の下旬からは梅、市場では早々にいちじくも顔を出します。そこでいったん小休止。そのあとひっそりと登場するのがあんずです。

あんずのスタートは夏の始まり。プラムや桃がいっせいに並び、青果の店先は一気に夏色で、旬を逃してはならないと、果実を追いかけるうれしい日々となります。連載ではそんな夏の果実を謳歌するレシピを3回連続で紹介。「調理室池田 店のテーブル家のテーブル」第13回はタルトの予定を変更して緊急企画。旬を迎えた「あんず」を使ったジャムについてお話しします。連載第2回のいちごジャムの記事もあわせて見ていただくとよりジャム作りの理解が深まると思います。

ジャムは短時間で煮る

ジャムは弱火でことこと長時間煮るものではなく、果実の香りや風味を逃がさぬよう、強火で短時間で仕上げることがおいしく煮るコツです。
とはいえ焦げついたりあめのような状態になるのはNG。私はほとんどの場合1kg前後の果実を銅製のジャム鍋で煮ますが、量や鍋によっては、ずっと強火ではあっという間に温度が上がりすぎ、煮つまってしまうことがあるようです。煮ている時間は今回のレシピの量で15分弱ですが、その間は鍋から離れず、様子をしっかり観察しながら温度を調整してくださいね。

砂糖の量について

ジャムはペクチン、酸、糖のバランスをとることでゼリー化します。あんずの場合、種と繊維を取り除いた果実(正味)の重さに対し砂糖は60%くらいの量がちょうどいいようです。砂糖の量が少ないと長く煮つづけても固まらず、風味や香り、色がわるくなってしまうだけでなかなかジャム状になりません。
他の果実でもジャム状に煮上がらないなと思ったら、砂糖をたしてみるといいかもしれません。
それでは、いっしょに鮮やかなジャムを作ってみましょう。

『あんずジャム』のレシピ

材料(容量約160mlの耐熱性のびん5個分)
あんず……1㎏(約2パック)
グラニュー糖……あんずの正味重量の60%
 
作り方
(1)
あんずはよく洗って水けをきる。へたを取り、種にそってぐるりと包丁で切り目を入れ、両手でひねって半割りにする。種を取り除き、さらに縦半分に切る。種を抜いたくぼみに残った太い繊維は、できれば取り除くとより舌触りのよい仕上がりになる。あんずの重さを量り、グラニュー糖を用意する。
(2)
口径約30㎝の鍋にあんずを入れ、グラニュー糖の1/4量をふり入れ、ざっと混ぜる。弱火~中火にかけ、あんずから水分が出てグラニュー糖が溶けたら、残りのグラニュー糖の1/2量を加える。全体になじませて砂糖を溶かし、沸騰したら残りのグラニュー糖も加える。同様にグラニュー糖を混ぜて溶かし、再び煮立ったら焦げつかないようときどき混ぜながら沸騰した状態を保ち、短時間で煮つめる。
POINT
「混ぜる」という作業は焦げつき防止と同時に温度調整でもあります。
常に混ぜつづけていると温度が上がらず、煮つまるのに時間がかかりますし、温度が上がりすぎているのであれば混ぜることで温度を下げることができます。常に混ぜていなければ焦げついてしまうほど温度が上がっているのであれば火を弱めたほうがいいでしょう。
「混ぜる」「火加減の調節」を適切なタイミングで行うことがおいしいジャムを作るコツとなります。

(3)
ゴムべらにジャムがまとわりつくようになったら火を止める。くしゃくしゃにしたアルミホイルをかぶせて10分ほどやすませる。

POINT
煮つまりぐあいに不安があれば、ここで少量のジャムを小皿にとって冷蔵庫で冷やします。温度が下がったところで味見をして粘度を見ると、煮つまりぐあいがわかりやすいでしょう。たりなければもう少し煮てください。


(4)
アクを取り除き、清潔な容器に移す。さめたらふたをし、冷蔵庫で保存する。
POINT
びん詰にして常温で長期保存したいときは、熱いジャムを同時進行で煮沸した熱いびんに詰めるため、アクを除いた後、再び火にかけ温めます。詳しいびん詰、脱気作業はこちらをご覧くださいね。

次回は7/19(金)更新。季節の特別企画【後編】夏の果物をたっぷり使った「型なしで作れるタルト」をご紹介します。

撮影よもやま話

インドでは陶器の焼き物はあまり多く見かけませんが、そのぶん、石や金属製の食器は豊富なようで家でも好んでよく使います。アザーカットとなりましたが大理石のボウルにヨーグルト、あんずジャムをスタイリングしてみました。ヨーグルトというと朝食のイメージが強いので、軽やかでシンプルな雰囲気の器を選びがちですが、器を替えるだけでしっかりとしたデザートの雰囲気を出すことができますよ。
大理石からひとつずつ削り出して作られるこちらのボウル。はい、割れません。(文/池田講平)

調理室池田
調理室池田
2018年12月に川崎市にある中央卸売市場北部市場内に開店。アンティークショップ・アートギャラリーを兼ねた、市場には珍しいスタイルのカフェ。早朝から働く人がコーヒーを片手に手軽に食べられるようにと作った焼き菓子や、ツナメルト、フリットといった市場で仕入れる新鮮な魚介類を使ったランチが人気。
公式HP 公式インスタグラム 

神奈川県川崎市宮前区水沢1-1-1 川崎市中央卸売市場北部市場 関連棟 45 
営業日/月・火・木・金・土曜
営業時間/7:00~13:30
(ラストオーダーは13:00、土曜日のみ14:00)
ランチタイムは 11:45~ 休みは市場に準ずる(原則、水・日曜と祝日) 
※一般のかたの市場への入場は8時から。来店の際は必ず上記HPかインスタグラムを確認してください。

調理室池田 過去の連載はこちら

料理・文/池田宏実 撮影・スタイリング/池田講平 編集/小林

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