2023.10.16
「お金持ちが長い机で食べる上品な味! これを食べればみんなが貴族の気分になれる!」
「並んででも食べたい洋食のハンバーグ! 大阪イコール粉もんって思ってたけどさすが食の台所! ハンバーグもメチャクチャおいしいよ」
ある日、田辺さんからこんなLINEが届きました。
田辺さん「45分並んで食べたハンバーグ。あんりが食べたとき歴史が見えたって言ってた」
いっしょに送られてきた写真を見ると、カメラを見向きもせず、ハンバーグだけを見つめているあんりちゃんが映っていました。私はすぐに返事をしました。
私「45分って遊園地のアトラクションくらい並んでない?」
田辺さん「あんりがちょんまげ姿で和食ばかり食べていた人がこれを食べてバンザーイって言ってるのが見えたって言ってた」
それは気になる! 私は後日、あんりちゃんと田辺さんに詳しくそのハンバーグについてきいてみました。
あんり「まず、その日は最悪だったんです」
その日は最悪から始まったようでした。
あんり「大阪での仕事で、事前にインディアンスのきむさんからいろんな大阪のお店の情報を教えてもらっていて、その店に行こうって田辺さんと決めていたんです」
田辺さん「そうしたら、最初に行きたかった店が休みだったの」
私「それは残念だね」
あんりちゃん「はい……でも、たくさんお店を聞いてたから、別の店に行こうって気持ち切り替えて違う店に向かったんです」
田辺さん「ええ。そうしたらその店も休みだったの」
私「なんと!」
あんりちゃん「でも、まだ他の店も聞いていたので行ったら、その店も休みで」
田辺さん「アタックした店全部休み。私たち水曜日に大阪にいたんだけど、きむさんに教えてもらった店全部水曜日が定休日だったの」
私は、きむさんは水曜日の食事はどうしているんだろうと思いました。
あんりちゃん「どうする? ってなって、そうしたら田辺さんが『私、気になってるお店があるの』って提案してくれて」
田辺さん「大阪高島屋にずっと気になっていた店があったのよ。逆に今日行くチャンスだと思って!」
あんりちゃん「それで、その店に到着したら行列だったんです! 私はおなかがすごくすいていたので正直並びたくなかったんですけど、田辺さんが『これだけ並んでるってことは、とてもおいしいのよ!』って行列をポジティブに解釈して」
田辺さん「これ以上歩きたくなかったの」
2人は行列に並ぶことにしたようでした。
田辺さん「並んでるときも大変だったよ! あんりが何度も行列から離脱しようとして!」
あんりちゃん「ものすごくおなかがすいていたんです」
田辺さん「そのとき、ちょうど前を上品なマダムが通ってね。その人の持っていた袋が「ガレット オ ブール」で、あんりに『ガレット オ ブールだよ!』って教えて、ずっとその話でごまかしたの」
あんりちゃん「ごまかし方間違ってますよ! 私はおなか減っているから離脱しようとしているのに、田辺さんは食べ物の話ずっとしてくるんです」
田辺さん「あら、逆効果だったね! うける~!」
田辺さんの間違ったごまかし方のおかげであんりちゃんも離脱せず、2人は店内に入れたようでした。
田辺さん「お店に入ってすぐの所においしそうなケーキのショーケースがあってさ! ケーキも絶対食べたほうがよかったよね!」
あんりちゃん「あれ? あの日私たちケーキも食べましたよね?」
田辺さん「食べたよ。モンブラン! おいしかったー!」
私「今の話し方はケーキを食べなかった人の話し方だよ」
田辺さん「そーりー!」
私は田辺さんに惑わされないように、あんりちゃんから詳しくお店の話を聞くことにしました。
あんりちゃん「まずお店の雰囲気がすごくよくて、お客さんがみんな笑顔で優雅に食事をしていて、自分も素敵な気分になれましたね」
田辺さん「お友達どうしで食事している素敵なマダムたちがいて、私もああなりたいなって思ったよ」
あんりちゃん「それで、頼んだもの全部が特別においしくてびっくりしました!」
田辺さん「マッシュルームのポタージュが革命だった!」
あんりちゃん「あれはおいしかった! マッシュルームを惜しげもなく使っている感じがして」
田辺さん「マッシュルームうまい! って初めて感じたかも」
あんりちゃん「もっとゆっくり味わいたいのに手が止められなくて……」
田辺さん「トマトサラダも甘くておいしくて、もうハンバーグがくる前から、並んでよかった~って思ったよね」
あんりちゃん「はい! 並んだ時間以上の味でした! お店に行ったときに並んでいても絶対に幸せが待っているからあきらめてほしくないですね」
田辺さん「あんり、私に感謝してね」
あんりちゃん「そして、ハンバーグを食べたらさらに衝撃が走って!」
田辺さん「あんり、ハンバーグ食べてちょんまげの人見えてたもんね」
あんりちゃん「ハンバーグがアルミに包まれていて、開けるところからワクワクして、食べたらもう! ああ! 思い出しただけで幸せになれます!」
私「どんなハンバーグなの?」
あんりちゃん「なんと言ったらいいか……花より男子の道明寺司とか、お金持ちが食事するシーンに登場する長いテーブルわかります?」
私「ああ、あの端から端までにめちゃくちゃ距離のあるテーブル!」
あんりちゃん「あのテーブルに登場するハンバーグの味がします」
私「あこがれのハンバーグじゃん!」
田辺さん「肉々しいんだけど柔らかさもあって食べやすいのよ。また、ソースが絶品でさ! このソースをつけてハンバーグ食べてるとき、私は今とても素敵な時間を過ごしているってなった!」
あんりちゃん「もっとこの時間を楽しみたいのに手は止まらなくて!」
田辺さん「わかる! 止まらないの! だれか止めてよ!」
私「ハンバーグ食べている田辺さんの手を私がつかんだらどうする?」
田辺さん「それは怒るよ!」
私は実際に止めるのはやめておこうと思いました。
あんりちゃん「……ちょっとあのハンバーグのポエムを作ったので聞いてくれますか?」
ここでいきなりあんりちゃんはポエムを読みはじめました。
田辺さん「あんりマジ天才! 本当にそんな感じ!」
私「今のポエムを聞いてよりハンバーグを食べてみたくなったよ」
あんりちゃん「ありがとうございます。それであの店のハンバーグは男性にたとえるなら……」
私(え! ポエムの後も出せるの?!)
あんりちゃんも田辺さんもグリルキャピタル東洋亭 なんば高島屋店さんの味にとても感動していて、あらゆる方向からそのおいしさを伝えようと頑張ってくれました。自分のできる表現はすべて使って伝えようと言う強い意志を感じました。しかし、私は正直自作ポエムを超えるたとえは出てこないと思っていました。
あんりちゃん「あのハンバーグは若いイケメン! っていうよりもいろいろ経験した大人の余裕のある素敵な男性ですね」
田辺さん「水谷豊さん?」
あんりちゃん「それだ! あのハンバーグは水谷豊さんです!」
田辺さん「うん! 水谷豊さんのような気品あふれるハンバーグだよ。嫌いな人いないよ」
なんとあんりちゃんと田辺さんは自作ポエムを超えてきました。私、水谷豊さん大好きなんですけど! 水谷豊さんを感じるハンバーグ、大阪に行ったらいつか絶対食べます!
撮影・文/酒寄希望
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