2023.09.04
「具だくさんで食感が不思議なお好み焼きだよ! ふわふわーとかじゃなくて中身が詰まってる。むぎゅって感じかな? 食感が不思議で。あとマヨネーズが甘めでとてもおいしいよ!」
今回は本題に入る前に、最近起こった私の悲劇についてお話しさせてください。夏という季節は芸人にとって特別な季節です。キングオブコントやM-1グランプリなどの賞レースの予選が始まったり、それぞれの芸人が自分たちの単独ライブを開催する時期でもあります。ぼる塾も8月5日に福岡で単独ライブを行う予定でした。この福岡公演は私が福岡の劇場に立つ初めてのライブであり、とても楽しみにしていました。あんりちゃん、はるちゃん、田辺さんの3人はKBC九州朝日放送で「ぼる部屋」という冠番組をさせていただいているので、とても福岡に詳しくなっています。
あんりちゃん「酒寄さんと福岡行ける! どこに案内しよう!」
はるちゃん「やったー! 私、絶対連れていきたいところがある!」
田辺さん「酒寄さん! 胃の容量増やせる?」
3人は単独ライブの次の日にお休みをとってくれ、【酒寄さん福岡満喫プラン】を事前に話し合ってくれていました。
しかし! 私は福岡公演直前に体調を崩し、参加することが出来なかったのです! 最悪のタイミング! 今は体調も回復して元気もりもりなのですが、40℃を超える発熱で絶対に参加不可能。関係者全員に申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらもどうすることもできず、ひたすら療養に専念しました。3人が急遽内容を変更して(内容が全部4人で演じるネタだったのです)ライブ本番を乗り切ってくれ、無事に終わった連絡をもらったときは安心して涙があふれました。
残念だったのはもちろん、本当は今回、【酒寄さん福岡満喫プラン】の思い出レポートを特別編として紹介する予定でしたが、実現不可能になってしまいました。何カ月も前からそのテーマで書く予定でいたので大ピンチです!
私「田辺さーん! 助けてー!」
田辺さん「酒寄さんどうしたの?」
私は困ったのび太くんがドラえもんに泣きつくようにメンバーの田辺さんに今回のピンチを伝えました。
私「オレンジページで書きたかったことが書けなくなっちゃったの! どうしよう!」
田辺さん「しょうがないね。私にまかせな!」
なんと田辺さんが、「酒寄さん自身が体験したと感じられるくらいリアルな福岡グルメの話を聞かせてあげる」と秘密道具ばりの素晴らしい提案をしてくれたのです。
田辺さん「まず最初にききたいんだけど、福岡にお好み焼きのイメージってある?」
田辺さんは早速話し始めてくれました。
私「え? 福岡にお好み焼きのイメージはないかも。大阪とか広島が有名だから」
田辺さん「でしょ! ないわよね! 福岡でお好み焼き食べようってまず思わない。福岡にはもつ鍋とかラーメンとかうどんとかおいしいものがたくさんあって、旅行の限られた食事回数じゃ絶対にひと枠をお好み焼きに使わないよ。私もたどり着くまでに3年かかったわ」
私「じゃあ今回紹介してくれるのって福岡のお好み焼き?」
田辺さん「そう! 福岡のお好み焼き! マジやばい! すごい!」
田辺さんは「本当にすごいとしか言えない」と言い、ここで話が終わりそうになったので、もう少し具体的にとお願いしました。
田辺さん「食感が不思議なの! 中身が詰まってる! 1枚でおなかいっぱいになるの! お好み焼きってさ、ふわふわしていて、普通3枚くらい食べないとおなかいっぱいにならないじゃない?」
※田辺さんは普通と言っていますが彼女個人の意見です
私「生地がしっかりしてるんだ。味はどんな感じ?」
田辺さん「でもさ、3枚くらい食べないとお腹いっぱいにならないこっちのお好み焼きでも、1枚が食べきれない女子って多いよね? なんで? それでさ、『食べきれない! 田辺食べてくれる?』って本当にあとひと口くらいのかけらを私に寄こしてきたりするの!」
田辺さんは「これくらいのひと口だよ! 自分で食べなよ! って思わない?」とビー玉程度の大きさの丸を指で作ってきたので、私は、「その大きさは田辺さんが嘘をついている」と、原稿の手助けをしてくれている恩人に対して嘘つき呼ばわりしてしまいました。
田辺さん「そもそもさ! 小さい子供じゃないんだから自分が食べきれる量くらいわかるでしょって思うのよ! 見た瞬間『ああ、これは食べきれそうにないな』って感じ取ってあつあつのまだ口つけてない状態のひと口を私に寄こしなさいって話よ!」
田辺さんの話はどうやら福岡のお好み焼きからお好み焼きをひと口残す女子にメインが変わってしまったようでした。
田辺さん「あつあつの状態のひと口と、冷めきった食べ残しの1口じゃもらうこっちもテンション全然変わってくるよ! 私は食べてって言われたら冷めきったお好み焼きも食べるよ。こっちは3枚食べられる胃袋だからさ。でもさ、いちばん腹が立つのって何だと思う?」
私「え? 何?」
田辺さん「ひと口残し女子がそのひと口をこっちに寄こしてくるから私が太るのに、そこに全然気づいていないところよ! 太ってるの! こっちは! 『残さなくてよかった』ってだけじゃなく、『私のせいで太ってくれてありがとう』ってそこにも感謝して! 書いて! ここ!」
私「わかった。約束する。それで福岡のお好み焼きはどんな味がするの?」※こっちでいっしょに食事に行ったとき、手でちぎったはずの紙エプロンが首に残っていることに気がついていないおちゃめな田辺さん
田辺さん「もちもちした生地に甘めのマヨネーズがすごく合うの! あのマヨネーズだけ売ってほしいってくらいおいしい。ソースもどろっとして濃くてね、食べ応えのあるお好み焼きにぴったり!」
田辺さん「あんりに『ソースがピリ辛でおいしいね』って言ったら、『べつにピリ辛じゃないですよ。田辺さんが七味かけているからじゃないですか?』って言われたよ。ソースはピリ辛じゃなかった!」
私「つまりソースはピリ辛じゃないのね?」
田辺さん「そう! でもこのあんりとのやりとりおもしろいでしょ!」
田辺さんはここでお好み焼きの写真を見せてくれ、「見て。私はこのお好み焼きを食べて自分のレベルが上がったって思ったよ」と、彼女がレベルアップしたことを教えてくれました。
田辺さん「それでさ、大満足だったんだけど、最後にちょっとした事件があったのよ」
私「どうしたの?」
田辺さん「いっしょに食べていたあんりがひと口だけ残して、『もう限界です。田辺さん食べてくれませんか?』って言ってきたの!」
そう言うと田辺さんはにやりと笑い、「さっきのひと口残し女子への文句はここを輝かせるためのフリだったのよ! 私最近そういうのできるようになったの!」と得意げに言ってきました。
福岡のお好み焼きとあんりちゃん
田辺さん「私が1枚でおなかいっぱいになるお好み焼きだからそりゃボリューム満点なんだけどさ、あんりが食べきれないわけないのよ! ずっといっしょにごはん食べてきたからわかるよ! だから私はあんりに、『見損なったよ! 小食ぶりやがって! 私にかわいいアピールしてどうすんのさ!』って言ってやったの」
田辺さんの長年のひと口残し女子への恨みをあんりちゃんがこのとき食らったようでした。
田辺さん「そうしたらあんりが、『私もおいしいから本当は自分で食べたいです! でもこれを見てください!』ってTシャツまくり上げてさ、なんとスカートの上にお肉がのっていて、もうぎちぎちだったの! スカートがあんりを殺しにかかっていた! ひと目見て『ああ、これは本当に苦しいやつだ!』ってわかって残りのひと口食べてあげたよ」
私「穏便にすんでよかった」
田辺さん「でもさ、やっぱりあんりはそこらのひと口残し女子とは違うよ。さすがあんりだよ」
私「何か違ったの?」
田辺さん「本当はふた口分私に食べてほしかったんだって。でもさ、『このひと口が田辺さんを太らせるかもしれない』って思って、ひと口自分で食べて、ひと口だけ私にお願いしたんだって。『このひと口だけなら太りません』ってあんり言ってた! やっぱりあんりは相手の立場になって物を考えられるやさしい子だよ」
私「すごい! さすがあんりちゃんだね!」
田辺さん「でしょ! あんりはすごいよ! スカート選びは失敗したけど」
今回は田辺さんの助けによって目の前であんりちゃんと田辺さんがもめている姿が見えるほど臨場感あふれる福岡グルメの話を体験できました! ありがとう田辺さん! 私が福岡に行くときは3年かからずにお好み焼きにたどり着きたいと思います!
そして福岡のみなさん! 次こそ必ず4人で行きます!
※回復し、無事に東京公演を四人でできたときの写真
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