梅酒は、梅をお酒と氷砂糖で漬けるだけ! その日のうちに仕込みが終わり、あとはゆっくり梅のエキスが出てくるのを待つだけなので、チャレンジしやすい梅仕事です。今回は人気料理家のワタナベマキさんに、梅酒の作り方を教わりました。おすすめは、完熟梅を日本酒で漬ける方法。できた梅酒をそのまま飲むのはもちろん、アレンジして楽しむこともできます。
目次
・梅酒の材料・用意するもの・日本酒で作る『梅酒』の作り方・日本酒と焼酎で梅酒の味の違いは?・梅酒の賞味期限/保存方法は?・梅酒のおいしい飲み方・アレンジ・もし梅酒にカビが生えてしまったら?・教えてくれたのは……ワタナベ マキさん
梅酒の材料・用意するもの
梅を買ってくる前に、梅酒を保存するための容器と、消毒のための食品用アルコール(なければ、アルコール度数35度以上の焼酎)を準備しておきましょう。
材料(作りやすい分量)
完熟梅……1kɡ
日本酒(アルコール度数20度以上のもの)……1.8ℓ
氷砂糖……1kɡ
<道具>梅酒のびんは梅1kgで容量4ℓ
完熟梅と日本酒、氷砂糖を漬け込むので、それらが入る大きさの保存びん(またはホーローの容器)が必要です。
梅1kgなら容量4ℓもあれば充分。外気が入らないよう、しっかり密閉できるものを選びましょう。日本酒1.8ℓに加えて、梅のエキスも出てくるので、2ℓ弱のでき上がりになります。
<準備>梅酒のびんを消毒する
容器の消毒をします。容器は、透明の耐熱ガラスびん(写真左)のほか、ホーロー(写真右)でもOK。
保存びんをよく洗って清潔なふきんで拭き、熱湯を注ぎ入れます。全体に湯がいきわたるように容器をぐるりと傾け、湯を捨てます(熱湯に触れないよう、やけどに注意して)。
自然乾燥をさせたあと、内側全体に食品用アルコールを吹きかけます。保存びんのふたの内側にも食品用アルコールを吹きかけておきましょう。
<梅の選び方>完熟梅と青梅の違いは?
完熟梅はその名のとおり、完熟した梅の実で、赤く色づいています。ワタナベマキさんが梅酒作りに使うのは、完熟梅。買う際は
色がきれいで、なるべく傷がついていないものを選びましょう。もしも、色が薄く、熟しかげんがたりないようなら、香りが出るまでざるに広げて追熟させてください。

漬け込む前にもう一度梅をチェック。傷がついて色が変わっている部分をよく観察しましょう。
さわってみて、ぶよぶよと柔らかくなってしまっているものは除きます。色が変わっていても、果肉が他と同じ堅さなら大丈夫です。
青梅は熟しきっていない若い梅の実で、
まだ果肉が堅いのが特徴。
梅シロップに向いています。

「完熟梅は、
ふわっと広がる濃厚で華やかな香りがあり、風味も豊か。甘みも強く感じられるように思います。青梅は、
青くさわやかな香りが特徴で、すっきりとした酸味。私はどちらも大好きですが、最近、梅酒は完熟梅で作ることが多くなりました。もちろん青梅でも梅酒は作れます。お好みに合わせて楽しんでください」とワタナベマキさん。
日本酒で作る『梅酒』の作り方
さぁ、準備ができたら梅酒を作りましょう。保存びんに材料を入れるだけだからだれにでも作れますよ! 完熟梅は1kg単位で売られているものが多いので、作りやすく飲みきりやすい分量として、完熟梅1kgで作るレシピを紹介します。
(1)梅のアク抜きをする
梅はなり口のへたを竹串で取り除き、ボールに入れる。たっぷりの水に30 分以上浸す。
(2)梅と氷砂糖を重ね入れ、日本酒を注ぐ
梅をざるに上げて水けをきり、1個ずつペーパータオルでしっかり水けを拭き取る。食品用アルコールスプレー(または焼酎を入れたスプレー)で消毒した保存びんに、梅と氷砂糖を1/3 量ずつ交互に重ねる。日本酒を注ぎ入れ、ふたをする。
(3)氷砂糖が溶けるまでおく
直射日光の当たらない涼しい場所で、一日1 回かるく揺すりながら、氷砂糖が溶けるまで3カ月ほどおく。
日本酒と焼酎で梅酒の味の違いは?
梅酒は、梅の香りやうまみと、漬け込む酒の香りが一体になります。使う酒によって味わいや風味が違ってくるのが魅力です。
日本酒で漬けると、甘みとこくがプラスでき、梅の風味も引き立ってまろやかで飲みやすい味わいになります。吟醸酒は酒の香りが立ちすぎるので、純米酒がおすすめです。
日本酒で漬ける場合は、
必ずアルコール度数20度以上のものを使いましょう。20度未満のものを使うと酒税法違反になりますし、保存性も低くなります。
焼酎を使うとすっきりとした仕上がりになります。梅の香りが生かせるよう、いも焼酎ではなく麦焼酎を使いましょう。
梅酒の賞味期限/保存方法は?
梅酒の保存期間は
常温で1年以上もちます。でき上がったら、そのまま冷暗所で保管を。氷砂糖が溶けたら飲めますが、長く漬けるほど味に深みが増します。すっきりとした味が好みなら、梅は取り出しましょう。漬けてあった梅も食べられるので、いっしょに楽しんで。
梅酒のおいしい飲み方・アレンジ
梅酒はソーダ割りかロックで
梅酒ができ上がったら、
まずはソーダ割りで楽しみましょう!おすすめは、梅酒とソーダを1:3の割合で割る飲み方。氷も入れてひんやりさせると、
暑い季節にはぴったりです。
ワタナベマキさんおすすめの飲み方は
ロック。「
日本酒の香りと、梅の風味とまろやかさがしっかり味わえます。氷を入れたグラスに注いで、ゆっくり飲むのが心地よいのです」(ワタナベマキさん)。
梅酒のおいしいアレンジレシピ
簡単に作れるアレンジレシピもご紹介しましょう。梅酒と果物は相性がいいので、フレッシュな果物や果物を使ったジュースと組み合わせると新しい味が楽しめます。
アレンジ1「梅酒とオレンジのカクテル」
材料(1人分)と作り方梅酒、オレンジジュース(果汁100%)各¹⁄₄カップを氷適宜を入れたグラスに入れ、炭酸水1カップで割る。シナモンスティック1本を添え、混ぜながら飲む。梅酒は甘みが強いので、炭酸水で割るとすっきりした味わいに。
アレンジ2「梅酒のパイナップルマリネ」
材料(作りやすい分量)と作り方カットパイン10~15切れ(約200ɡ)は食べやすい大きさに切ってボールに入れ、梅酒1/2カップを加えて混ぜ合わせる。黒粒こしょう適宜を加えて混ぜ、冷蔵庫で1時間以上冷やす。好みで梅酒で漬けた梅をのせていっしょにいただいたり、氷を入れてひんやり感を楽しむのも◎。
もし梅酒にカビが生えてしまったら?
表面にカビのような浮遊物が浮かんでいても、
白いものならまだ大丈夫。ふわふわした白いカビは食用品アルコールスプレーで消毒したスプーンで、ひらひらとした白い膜のようなもの(「産膜酵母」といい、カビとは別物)はペーパータオルで吸い取りながら、それぞれ取り除きましょう。おり(澱)がたまることがありますが、表面に浮くのではなく、びんの底に沈むので見分けられます。
完熟梅で作る梅酒は、ふくよかで豊かな香りが味わえます。ソーダ割りやカクテルにして食前酒や食後酒に、あるいはデザートにと、いろいろなシーンで楽しんでください。
(『オレンジページ』2025年6月2日号より)
教えてくれたのは……ワタナベ マキさん
グラフィックデザイナーを経て料理家に。センスあふれる食材や調味料の組み合わせで、簡単においしく作れるレシピが人気。毎年20kg以上の梅を取り寄せ、梅シロップや梅干しなどたくさんの梅仕事をしつづけている。
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