手間をかけた料理がよしとされた昭和の時代。家庭料理の常識をくつがえした小林カツ代さん。手早くおいしく仕上がる彼女のレシピは、令和の今、あらためて注目されています。
今回は、一番弟子・本田明子さんに教わる『10分肉じゃが』をご紹介。忙しい日でもパパッと作れる、師匠直伝の時短レシピ。強火でガッ! と煮るのが最大のコツです。
あの「料理の鉄人」で鉄人に勝利した伝説の肉じゃが、ぜひ試してみてください!
『10分肉じゃが』のレシピ
材料(4人分)
牛薄切り肉(ほどよく霜ふりのもの)……200g
じゃがいも(男爵やキタアカリがおすすめ)……4~5個(600~700g)
玉ねぎ……1個(約200g)
〈A〉
砂糖……大さじ1
みりん……大さじ1
しょうゆ……大さじ2と1/2
サラダ油
仕上がりを左右する食材と道具

主役はあくまでじゃがいもだから肉は1人50ɡ。そのぶんぜひちょっといい肉を。切り落としでもいいですよ。

強火で煮るので、おすすめは鉄の深めフライパンや中華鍋、すき焼き鍋。フッ素樹脂加工の場合は強めの中火に。
作り方
(1)肉に調味料をからめ、味を決める

玉ねぎは縦半分に切ってから、縦に幅1cmに切る。じゃがいもは皮をむき、大きめの一口大に切る。牛肉は幅5cmに切る。口径22cmの鉄鍋(またはフライパン)にサラダ油大さじ1を強めの中火で熱し、玉ねぎを炒める。油が回ったら中火にして中央をあけ、牛肉を加える。肉めがけて〈A〉を順に加える。肉をほぐし、味をからめる。
POINT調味料は肉をめがけてジャッ! 肉にしっかり味をつけると、全体の味が決まる。
(2)表面を平らにする

全体をざっと混ぜ、つやが出たらじゃがいもを加えてひと混ぜする。水1と1/2カップを加えて、表面を平らにならす。
POINT平らにするのは、味のしみ込みと火の通りを均一にするため。
(3)落としぶた×強火でガッと煮る

強火(フッ素樹脂の場合は強めの中火)にし、落としぶた※をして7~8分煮る。煮汁がとんで焦げそうになったら、湯1/2カップをたして。
※オーブン用シートを鍋の口径よりひとまわり小さめの円形に切り、中央に直径2cmくらいの穴をあけたものでも。POINT煮汁がすぐ飛ぶ鉄鍋は落としぶたで。フライパンや普通の鍋は、サイズの合うふたでOK。
(4)煮からめて仕上げる

途中、菜箸と木べらで上下を返すようにざっくり混ぜ、再び平らにする。さらに2~3分煮る。じゃがいもに竹串を刺すとすーっと通り、煮汁が少しだけ残るくらいが目安。火を止め、ふたをして3分ほど蒸らし、器に盛る。

短時間ながら、じゃがいもはほっくり、味はしみしみ。あっという間に絶品肉じゃがの完成です!
「おなかをすかせた子どもたちにおいしいものを早く食べさせたい」という想いを原点に生まれたカツ代さんの料理。その精神は、今も色あせることなく受け継がれています。
忙しい日にも頼れる一品。ぜひ一度味わってみてくださいね。
(
『オレンジページ』2025年4月2日号より)