夫やパートナー、子どもが「なんだか元気がないな」「ちょっとうつっぽいかも?」と感じたとき、声のかけ方をちょっと工夫するだけで相手の心にすっと寄り添える言い方に。ふだんの会話で押さえたい3つのポイントを、精神科医の浅井逸郎先生に教えていただきました。
ふだんの会話で心がけたい 相手に寄り添う「声かけ」のポイント3選
いちばん大切なのは、本人の話にじっくり耳を傾け、「そうなんだね」「つらいよね」と共感して、受け止めてあげること。本人があまり話したがらない場合は無理に会話をせず、相手のペースに合わせるよう心がけてください。
①励ましの言葉は逆効果

×「頑張って」「気持ちを切り替えよう」
〇「少し様子をみようか」「あなたのペースでいいからね」本人はすでにがんばっていて、「がんばりたくてもがんばれない」状況。励まされるほど、「できない自分が悪いんだ」と自身を責めてしまうことに。
②決断を求めない
×「夕飯は何が食べたい?」「いっそ会社(学校)を辞めたほうがいいんじゃない?」
〇「今日はハンバーグでいい?」「今はゆっくり過ごそう」心のエネルギーが不足していると、判断力が鈍り、ささいな決断も本人の負担になります。こちらから選択肢を提案して選んでもらうようにしましょう。重要な決断は先延ばしにすること。
③原因を追究しすぎない
×「どうしてそうなったの?」「何が原因なの?」
〇「いつでも話を聞くよ」「困ったことがあったら言ってね」原因を探ることは、自分やまわりの悪い点を探すことにつながり、ますます落ち込ませてしまいます。また、原因はひとつではなく複合的な場合もあり、説明しにくいことも。本人が自分の気持ちを話すようになるまでじっくり待ちましょう。
教えてくれたのは…浅井逸郎先生
精神科医。医療法人社団ハートクリニック理事長。薬物療法、認知行動療法、リラクセーション、カウンセリングなどデータに基づいた治療を総合的に行う。クリニックでは家族向けの勉強会も定期的に開催。著書に『「うつ病の夫」に妻がすべきこと、してはいけないこと』(大和出版)など。
「元気を出してほしい」と思って外に連れ出そうとするのは、かえって逆効果になることも。まずは心身の休養を最優先に、普段の会話や接し方に気を配ってみて。
(
『オレンジページ』2024年4月17日号より)
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