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飛田和緒さんの「月に1度のさもない昼ごはん」

三浦の直売所は春いっぱい!新じゃが・新玉・新人参で昼ごはん【飛田和緒さん連載】

2025.03.19

人気料理家・飛田和緒さん。この連載は飛田さんの飾らないお昼ごはんをのぞき見させてもらいます。使うのは20年近く住む神奈川県・三浦半島の旬の食材! さて今日はどんな「さもない」お昼が見られるのでしょうか……?

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冬に逆戻りしたような寒い3月のスタートとなりました。

みなさん体調大丈夫でしょうか。私は年じゅうTシャツで過ごしておりますが、さすがにここ数日はカーディガンをはおったり、分厚い靴下をはいて寒さ対策しております。それでも日ざしは春に近づいているようで、日中は部屋は暖かく、家事や仕事で動き回っていると汗ばむくらい。家の中は春の空気に包まれています。

庭の水仙やチューリップの球根も芽が出て、緑の葉を伸ばしています。ヒヤシンスは早々に花芽がふくらみかけていたのですが、ここ数日の寒さでふくらみストップ状態。暖かさがやってくるのをじっと待っているようです。

新じゃが、新玉ねぎ、新にんじん。旬の野菜がいっぱい!

今月の野菜の買い出しは春一色。新じゃが、新玉ねぎ、新にんじん、菜の花、ミディトマトは先月くらいで終わりかと思ってましたが、まだまだ棚にいっぱいに並んでいてうれしい。大根は今いちばん手ごろなお値段なので、つい買ってしまいました。安くて庶民の味方と思っていた直売所もやはりお値段上がっています。燃料の高騰や雨不足などで農家のみなさんも大変な苦労をしていらっしゃるからこればかりはしょうがありません。私たちは旬の野菜を買っておいしくいただくのみ。できるかぎり通って、みずみずしい野菜と出会えるようにと思っています。


そして今回は地元の卵もゲットできました。安田養鶏場のタフラン、アトムくん、しおさい。それぞれに名前がついていて、殻の色も赤茶、肌色、青みがかった白色をしています。栄養価も違うそうですよ。

じつは娘の幼稚園や学校の近くに養鶏場があったので通っていたときもあったのですが、娘の成長とともに養鶏場が遠くなっていました。最近行ってなかったので、直売所に並んでいるのを見たときには小躍り。「殻の色は鶏の毛の色なのよ」。もちろん鶏の種類も違うのですがそう教えてもらったり、養鶏所のおかあさんは二黄卵を見つける名人、娘が黄色2つの目玉焼きが食べたいとお願いすると、卵を選んでくださったりとよいおつきあいをしていただいてました。おかあさんお元気かな。また出かけてみたいと思います。

それから春が収穫の地元わかめ。とれたてのフレッシュなわかめは磯の香りが心地よく、ねっとりしているのにしゃっきりした歯ごたえもある。目の前の海でもわかめ漁始まるよーと教えてもらったけれど、翌日から大しけでまだ近くの海のわかめは食べることができませんが、今回少し車を走らせた小坪という漁港のわかめを。同じ湾内でも地域で味が違うのもおもしろいのです。食べ比べてはここがいい、あそこがいいと味わうのも毎年のお楽しみとなっています。

「卵丼」と「新玉とわかめのサラダ」 で昼ごはん

さて、今月の昼ごはんは卵丼。だしつゆに新玉をどっさり入れて煮込み、味をふくんだら、卵でとじるだけ。トマトも入れてうまみアップ。窓辺栽培の豆苗を切って彩りに加えました。

新玉から汁けが出て、つゆたっぷり。汁ごとご飯にかけました。卵は一度1/2量ほど入れて煮立たせて、ほぼ火が通ってきたら、残りの卵液を入れて好みの火の通しぐあいで仕上げます。つゆが多めのときには卵液が沈みがち。卵色が出ないこともあって、二度に分けて卵を加えて、黄色を強調するようにしています。

つけあわせは新玉とわかめのサラダ。ツナ缶とじゃこを合わせ、マヨネーズとしょうゆで味つけ。ねっとり甘い卵丼の玉ねぎと、シャキッと歯ざわりよく、ほんのり辛みのあるサラダの新玉。どちらも春の玉ねぎならではなので、存分に味わいました。たまたま夫が昼過ぎまでうちにおりましたので、二人の食卓。夫は途中から一味や粉山椒をふって食べていましたよ。ペロリと完食。ごちそうさまでした。

新じゃがは小田原のちくわと新にんじん、新玉ねぎの組み合わせで、肉じゃがならぬ、ちくじゃがを作りました。皮つきで煮たので、15分くらい煮上がるのにかかりましたが、それを過ぎると一気に柔らかに。箸でつついて火通りを確認したじゃがいもは穴部分から割れて、味がしみていきました。煮上がってすぐもおいしいですが、一度さますと、味をさらに含んでおいしくなります。

新じゃがは水分が多く、あっさりした味わいなので、ごま油でよく炒めてから砂糖を控えめにしてしょうゆも色の薄めのものを選んで煮ました。いつものこっくりした味よりも控えめな、春らしいやさしい味に。割れたじゃがいもがおいしかったので、煮なおすときにあえてじゃがいもに穴をあけたり、皮にひと筋包丁を入れて、はじけさせて味を含めてもいいなと思いました。今夜が楽しみです。

葉つきの新玉は葉の部分からいたむので、買ったらすぐに切り分けて、身は皮をむいて冷蔵庫に、葉は甘めの味つけのみそ炒めにしました。少々残っていた牛こま肉を合わせて。これはもう白飯泥棒。ご飯は同時進行で炊いて、炊きたてのつやつやな白飯にのせて食べます。

 
そうそう、話はがらりと変わりますが、最近炊飯器を新しくしました。以前使っていたものもそうだったのですが、米と水分量のバランスを測るのに時間がかかりました。炊飯器だから、内がまの線に合わせて水を入れて炊くだけと思っていたら、機能が多すぎて、どれがいちばんベストなのかを探るのに1ヵ月くらいはかかったかな。

もちろん次々と炊けばいいのでしょうが、冷凍ご飯が山積みになるだけなので、炊くたびにメモしながら好みを見つけた経緯があり、今回も新しい炊飯器と奮闘中。新しい機種には米の種類、コシヒカリやあきたこまちや、産地をセレクトして炊く機能もあって、前回よりも苦戦しております。便利なものほど、向き合う時間が必要みたい。そんな日々であることも記します。


3月になれば春キャベツと期待していましたが、うーん、やはり天候の影響か、まだ納得できる春キャベツに出会えていません。柔らかな春キャベツが出回るまで、大好きな新玉をたくさん食べよう。みなさんも季節の変わり目、お体大事になさってください。


飛田和緒



飛田和緒(ひだかずを)

料理家。神奈川県・三浦半島に夫・娘と住みはじめてから18年になる。海辺暮らしならではの魚料理や、地元の食材を使ったシンプルな野菜レシピが人気。繰り返し作りたくなる常備菜は、幅広い層から支持されている。お弁当や朝ごはんの記録をつづったインスタグラム(@hida_kazuo)も話題。著書に『いちばんおいしい野菜の食べ方』(小社)など。

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文・写真/飛田和緒 撮影/大森忠明(バナー、プロフィール画像)

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