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飛田和緒さんの「月に1度のさもない昼ごはん」

トマトと人参のポタージュでさもないランチ。冬の赤野菜は甘み凝縮【飛田和緒さん連載】

2025.02.19

人気料理家・飛田和緒さん。この連載は飛田さんの飾らないお昼ごはんをのぞき見させてもらいます。使うのは20年近く住む神奈川県・三浦半島の旬の食材! さて今日はどんな「さもない」お昼が見られるのでしょうか……?

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寒い日が続いておりますが、みなさんお元気でしょうか。海辺は冷たい風が吹き荒れております。今日も夕方から突然風が強くなって、ベランダにあったバーべキューコンロやデッキチェアが飛ばされてしまいました。朝はおだやかだったんですけどね。春に向かって、風も迷走中なのかな。

さて、2月になりましたら直売所の野菜に変化が。大根の数がぐっと少なくなり、ブロッコリーとキャベツの山。軽やかなレタス類や、黄色い小花がかわいらしい菜の花が少し出はじめました。春野菜への移行の時期で端境期は野菜の種類が減ります。

冬のトマトと金時にんじんのポタージュでお昼ごはん

そんななかでも今日は金時にんじんと、フルティカトマトと呼ばれる甘いミディトマト、小さなサイズの安納いも、オークリーフレタスを買いました。金時にんじんは年末によく見かける種類で真っ赤なにんじん。普通のにんじんよりも長さがあって大きい。おせちのなますを大根と金時にんじんの紅白の組み合わせで作ることが多いのですが、昨年末、収穫できるほど成長していなくて間に合わなかったそうです。

雨がなかったことや雨が降るときには尋常じゃない雨量で、種や苗が流されてしまって、残念ながらおせち作りに金時にんじんがなくて残念でしたが、年明けに出会えるとは。真っ赤な色に吸い寄せられてしまいました。並んでいる金時にんじんを見たときからポタージュ作ると決めていました。甘い甘いにんじんの味が勝手に口の中に広がってきて、一目散に帰宅。
金時人参とふつうの人参、大きさがわかるよう並べて写真撮ってみました。金時人参けっこう長さもあって大きいんです。
金時人参とふつうの人参、大きさがわかるよう並べて写真撮ってみました。金時人参けっこう長さもあって大きいんです。
玉ねぎといっしょにひたひたよりも少なめの水と合わせてことことと柔らかくなるまで煮て、ハンドミキサーで撹拌。ポタージュの素をペースト状にして作っておき、豆乳や牛乳でのばしてスープにします。ペーストにしておくことで応用範囲が広がりますよね。パンに塗って食べたり、酢やオイルを合わせればにんじんドレッシングのでき上がり。お米と炊いたにんじんご飯も家族から好評です。

オークリーフレタスは、フリフリの衣装みたい。大きなつばの広がった帽子のような、バレリーナのチュチュのような愛らしい姿カタチをしています。袋から出すときにふわんと広がって葉が波打つんです。そのかわいい様子を見ているだけで幸せな気持ちになりますね。葉はとても薄くて口当たりが軽いから食べやすい。サラダにしたり、鍋に入れて食べました。


安納いもはせいろで蒸してみましたら、蒸したてはあまり甘くないのです。ほんのり菊いもみたいな味もして、ハズレを買ってしまったかと思いきや、さめたら甘ーく、ねっとりとした舌ざわりになりました。天日に当てたらおいしい干しいもになりそうと思っていたけど、あっという間に完食してしまって干しいもにならずに終わりました……。いつも蒸したてのさつまいもがおいしいとばかり思ってましたが、さめたいもの味が忘れられません。というくらい感動のお味でした。

ミディサイズのフルティカトマトは初冬から春先が旬。フルーツトマト系のトマトで糖度が高いのが特徴。トマトは夏が旬とばかり思っていましたけど、このトマトに出会って冬トマトもあることを知りました。生のまま食べるのはもちろん、煮たり焼いたりすると甘みが増します。このトマトで作るトマトソースは格別。トマトのうまみが濃すぎるくらい濃厚な味です。おみそ汁の具にもおすすめですよ。 

金時にんじんのポタージュでランチ

ランチは予定どおりの金時にんじんのポタージュ。にんじんと玉ねぎのペーストを豆乳でのばして温め、塩で味つけし、庭のタイムをつんでチラリと加えました。タイム効果でさわやかなスープに。

ナッツがぎっしり入って、外側はごまがびっしりと詰まったパンをカリカリに焼いてスープに浸しながら食べましたら、おいしすぎて、何度もお代わり。おいしいものはなくなるまで食べ尽くしてしまう。とっておけない性分です。

サラダはオークリーフをちぎって洗い、水けをしっかりと取ったところに、フレッシュなマッシュルームの薄切りと、窓辺栽培のパクチー、名残の柿、ブルーチーズを少々ちぎって合わせて、オイルであえました。こちらも組み合わせが最高。ワインが飲みたくなる味でもありました。

個性的なチーズや香草もオークリーフの軽やかでやさしい味がふわりと包んでくれて相性よし。好きな組み合わせリストに加わりました。ポタージュは作り方は案外簡単なのにごちそう感が増します。金時にんじんの赤い色みも加わっていつものランチがランクアップしましたね。色って大事。特に赤い色は気持ちを盛り上げてくれました。


フルティカトマトのせ丼も絶品

後日のランチも報告します。炒めフルティカトマトのせ丼ご飯は金時にんじんのペーストを米と合わせて炊き、トマトは切り口がくずれるくらいまでオリーブオイルで焼きつけるようにして炒め、赤いどんぶりの完成

半熟の目玉焼きをのせて、かるく塩こしょうして、グチャと混ぜてひと口。にんじんとトマト、卵のそれぞれの甘みとうまみが広がりました。トマトのジュースがにんじんご飯にしみて、ご飯がするりとのどを通っていきます。この日もこの赤いご飯に助けられて、品数が多く、はじめての雑誌、はじめてのスタッフで少々緊張もあった撮影がスムーズに運んで無事終了。

赤いカラフルな野菜は夏のものと決めつけていたところがありますが、真冬の赤野菜もいいな。春まで意識してしっかり食べようと思います。特にトマトは夏も食べられる意識でいるからか、ミディトマトの出荷終わったよって聞くと、がっかり度合いが半端ない。毎年のことなのにね。なかなか慣れない冬トマトなのです。

来月はふわっふわの柔らか春キャベツ食べたいな。待ちどおしいです。


飛田和緒



飛田和緒(ひだかずを)

料理家。神奈川県・三浦半島に夫・娘と住みはじめてから18年になる。海辺暮らしならではの魚料理や、地元の食材を使ったシンプルな野菜レシピが人気。繰り返し作りたくなる常備菜は、幅広い層から支持されている。お弁当や朝ごはんの記録をつづったインスタグラム(@hida_kazuo)も話題。著書に『いちばんおいしい野菜の食べ方』(小社)など。

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文・写真/飛田和緒 撮影/大森忠明(バナー、プロフィール画像)

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