ひと昔前にブームになってから、いまや定番夏野菜となった「
モロヘイヤ」。独特の粘りが特徴で、シマツナソ、トロロナとも呼ばれています。
今回は、そんな旬の「モロヘイヤ」をおいしく食べるために知っておきたい情報を次の3本立てでご紹介。医学博士の長野美根先生に、豊富な栄養についてと、栄養をできるだけキープするための調理方法を教えていただきました。
【1】モロヘイヤの選び方&保存方法
まさに上の写真のような、
葉が濃い緑色で葉先まで張りがあり、筋張っていないものを選びます。また、
軸が茶色っぽくなく、緑色のものが新鮮なあかし。
モロヘイヤは乾燥に弱く、鮮度が落ちやすいため、すぐにゆでるのがベストですが、ゆでたものは冷凍保存も可能。食べるときは解凍してから味つけしましょう。
すぐに調理できない場合は、ぬらした新聞紙に包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫で保存すれば2~3日もちます。
ちなみに、モロヘイヤの種子や実には毒性のある成分を含んでいる可能性があるといわれることがありますが、厚生労働省の検査で、
人が食用にする部分や、市販のものには毒性がないことが確認されています。ただし、自家栽培の際は、種子や実の取り扱いに注意してください。
【2】栄養キープのゆで方&『絶品おひたし』レシピ
モロヘイヤの栄養をキープしつつ、おいしく食べるのにおすすめなのが、
「シャキとろ刻みおひたし」にすること! ねばねばとシャキシャキ、どちらもほどよく楽しめます。作り方の下にある、栄養をキープするポイントもぜひチェックして。
材料(2~3人分)
モロヘイヤ 1袋(約100g)
削り節 適宜
塩 ごま油 しょうゆ
作り方
〈1〉まずは、葉と茎に分けて。モロヘイヤは葉を摘み、葉と茎に分ける。茎は包丁がすっと入らない堅い部分を切り落とす。
※茎は堅く、柔らかい葉よりも熱の通りが遅いので、時間差でゆでます。そのために、まず葉と茎を分けておきましょう。
〈2〉熱湯でさっとゆでて冷水に。口径24cmくらいの鍋に水1ℓを沸かし、塩大さじ1/2を加える。茎を入れ、40~50秒たったら葉を加えて10~20秒ゆでる。冷水にとってさます。
※他の青菜よりも、ちょっと濃いめの塩加減。ゆで上がりが水っぽくならず、アクやえぐみを抜く効果があります。変色を防ぐため、冷水にさらすのも忘れずに。
〈3〉2~3cmに刻んで盛りつけを。モロヘイヤの水けをかるく絞り、長さ2~3cmに切る。ごま油小さじ1/2をからめて器に盛り、削り節と、しょうゆ適宜をふる。
※水けを絞るときは、葉や茎をつぶさない程度の力加減で。「やさしく、だけどしっかり」がコツ。仕上げに油をからめ、β-カロテンの吸収率をアップさせます。
シャキシャキ感と粘りがマッチした、おひたしの完成です!
【3】知っておきたい! 驚きの栄養価の高さ
古くから食べられてきたモロヘイヤにはこんな逸話が。一説によると、ある研究者が
モロヘイヤの栄養価を調べたところ、あまりの数値の高さに驚き、計測器の故障ではないかと疑ったといいます。日本では1980年代にエジプトから入ってきて、健康野菜として一大ブームに。
主な栄養素は次の3つです。
β-カロテン……強い抗酸化作用があり、細胞の老化防止に有効。にんじんの約1.5倍含まれています。
カルシウム……一般的に含有量が多いとされる小松菜が100gあたり170mgであるのに対し、なんと260mgも!
ねばねば成分……血糖値の急な上昇を抑えたりコレステロールを排出するなど、生活習慣病予防に有効といわれています。また切らずにゆで、しっかりと刻むことで効率よく働きます。
この栄養量、すごいですよね。旬の今、食べないなんてもったいない! この絶品おひたしで、モロヘイヤをぜひ食卓に登場させてくださいね。
(『オレンジページ』2017年6月17日号)