悩みとは生きている証拠。だれもが大なり小なり抱えているお悩みに、マダム・サルディンヌこと
猫沢エミさんが真摯に、時に愉快にお答えします。
今月の迷えるお悩み
離婚って悪いことなんですかね? 夫婦関係で悩む結婚18年目の 50 歳です。 今私は正直離婚をしたいと思っているのですが、すごくネガティブな思考になってしまうのです。 子どもがかわいそう、両親から非難を受ける、自分で自立してやっていけるのか……。そんなことから、なかなか踏み出せません。 また、離婚による環境の変化に恐怖を感じています。 そんなんでぐちゃぐちゃになっている自分がますます嫌いに。結局は、自分に自信がなく決断ができずにいるんです……。
あっきー(50 歳女性・洋服のお直し屋さん ・埼玉県)
「なぜ、離婚したいのか」考えてみて

こんにちは。あなたのお悩みの友、マダム・サルディンヌです。
まず、はじめに……あなたが旦那さまと離婚したいと思う理由はいったい何でしょう? お悩み相談の内容を見ると、書かれていることは
離婚に伴う〝まわりの反応〟ばかりで、肝心の旦那さまと別れたいと思う理由が書かれていません。もしも、旦那さまにさしたる不満はないのだけれど、バッチリ気が合ってもおらず、もうときめきも感じない。という理由でしたら、もう一度、考えなおしてみるべきかもしれません。
〝ときめかないほどもうなくてはならない空気のような存在になった〟可能性があるからです。
抱える不安を整理してみる
気をつけなくてはいけないのは、もしもあなたが
離婚を、漠然とした新しい人生を切り開くための起爆剤としてイメージしている場合です。離婚に限らず、人生の大きな転換期や、新しく何かを始めるということは、それ自体が新鮮で、自分がまるで生まれ変わったかのように感じますが、実際に自分自身が変わるかどうかは、また別の問題です。
新しい状況は、時に引っ越しや転職など、具体的な環境の変化をもたらしますし、そのことによってよい影響を受けることもありますが、状況の変化だけに期待して自分が変わることをしないでいると、よい結果にはなりません。実際に、離婚後の環境の変化に恐怖を感じていらっしゃって、明るいヴィジョンを思い浮かべることができない現在、まずはあげていただいた心配事の ①「子どもがかわいそう」②「両親から非難を受ける」③「自立してやっていけるのか」について考えてみることにしましょう。
離婚=子どもがかわいそう?
① の「子どもがかわいそう」は、離婚に伴う感情や状況の多くでよく言われる言葉ですが、〝本当に子どもにとってかわいそうな状況とはいったい何だろう?〟を考えなくてはいけません。一昔前の日本で当たり前だった、離婚は家の恥、という概念や、名字が変わることで後ろ指をさされるなど、こうしたことは、誰がなんと言おうがもう考えなくていいと私は思うんですね。〝人の目〟など横に置き、ここで
考えなくてはいけないのは、お子さんの気持ちと幸せです。だから、とことん腹を割って話す必要があります。意見をきちんと言える年齢でしたら、もう一人の立派な人間として扱うべきですし、
平等な家族の一員として、希望は尊重すべきです。
あなたの人生はあなたのもの
②の「両親から非難を受ける」も、①ですでに回答済みの内容とかぶりますが、
あなたの人生はあなただけのものであり、まわりに迷惑をかけない具体的な計画がきちんとありさえすれば、これも気にするようなことではないと思います。が、このご両親からの〝非難〟のなかには、家の体裁といったこと以外にも、あなたの将来への心配も含まれていると思うのです。これは、③の「自立してやっていけるのか」と、あなたご自身が不安に思っている点を見ても、現時点ではご両親の反応が想像できる……なのかなと想像します。
となると、問題はやはり③ですよね。これはあっきーさんにかかわらず、現在
日本で離婚という状況に直面していらっしゃる女性共通の問題ではないかと思います。もしも充分な収入がありさえすれば、選択肢は大きく広がります。現時点では、自立できるほどの自信がない場合は、5年、10年という少し長いスパンでご自身の仕事のスキルをupしていく目標を立てるなど、具体的な計画が必要になります。また、すぐにこうした具体的なことを考えられない状況でも、
自分の思い描く人生を生きているポジティヴなイメージを持つことで、状況が変わっていく可能性も大です。
離婚が当たり前の国、フランスから
ちなみに現在、私が暮らすフランスには
〝離婚は悪いこと〟などという社会通念はない、とお伝えしておきましょう。社会構造もモラルも違う日本とフランスの結婚・離婚事情を、単純に比べることはできませんが、現在のフランスは、残念ながら日本よりもずっと女性が生きやすい環境にあるといえるでしょう。旧時代の女性たちが受けてきた差別的な扱いが大きかった反動もあり、近年のフランスでは、女性が女性として当然持っているさまざまな権利が尊重されています。
そのうちのひとつが結婚する権利、そして離婚する権利です。それを可能にするため社会は、出産後の女性の職場復帰、離婚したシングルマザーや未婚出産のお母さんなどを手厚くサポートするシステムを備えています。
〝人間も動物なのだから、愛し合って子どもが生まれ、そしてカップルがそれぞれ違った道を歩き始めれば、別れることは当然だ〟というのが一般的な考え方。そして
最も不幸なのは、一緒にいることがお互い苦しみでしかないのに、当事者の気持ちが尊重されず、状況を変えられないことです。
自分軸について考えてみて
最後に。この問題を考える前に、まずは
あなたご自身の軸を立てなおしましょう。自分が嫌いな状態では、正しい選択ができなくなります。パニックにならずに一つ、一つ、問題について、よく考えること。それでも「私は離婚したい」と思ったときは、
きっといい選択ができるのではないかと思います。人生は一度きり! ゴッド・ブレス・ユー♡
そんなあなたへのマダムの処方箋
自分軸を立て直す
「りんごと春キャベツのひらけごま!サラダ」
材料(2〜3人分)春キャベツの葉……3〜4枚
りんご……1/2個
(調味用)
塩……小さじ1
和風だしの素(昆布・顆粒)……小さじ1/2
ごま油 大さじ1
レモン汁 小さじ1
いりごま、塩……各適宜
下準備:小さなボールに水を入れ、塩小さじ1/2くらいを溶かしておく。
作り方キャベツは細いせん切りに(スライサーを使ってもOK)。大きなボールにキャベツと塩をいれ、両手でざっくり混ぜたらそのまま15分ほど放置しておく。りんごは皮をむいて8つ割りにして、横に薄切りにしたらすぐに塩水のボールへ入れ、変色を止める。キャベツの水けをギュッと絞って別のボールに入れておく(このときキャベツを水で洗わないこと)。
りんごはサッと洗って水けをきって、キャベツと合わせておく。そこへ調味用の材料をすベて入れてさっくり混ぜ合わせればでき上がり!
効能:拙著『
ねこしき』にも、自分の軸を立てなおしたいレシピにキャベツがたくさん登場します。豊かな食物繊維とビタミンC・U 。胃粘膜を保護してストレスをやわらげる効果を持つキャベツは、とにかく体と心を整えたいとき、たっぷり食べたい食材です。さらに、胃酸と赤血球の量を増やす効果があるりんごは、キャベツの効能をサポートしてくれるだけでなく、
サクサクとした食感もいいアクセント。さっぱりとした塩もみサラダは、
今が旬の春キャベツのおいしさと風味を存分に味わえる簡単レシピ。香り高いごま油で、未来も〝ひらけごま!〟。
キャベツの効能については
こちら(「わかさの秘密」キャベツより)
りんごの効能については
こちら(弘前市「りんごと健康」より)
猫沢エミ(ねこざわ・えみ)
2002年渡仏。2007年より10年間、フランス文化に特化したフリーペーパー《BONZOUR JAPON》の編集長を務める。超実践型フランス語教室《にゃんフラ》主宰。著書に「ねこしき」(TAC出版)、他多数。最新刊・愛猫イオとの物語「イオビエ〜イオがくれた幸せへの切符」(TAC出版)が昨年12月に発売されたばかり。インスタグラム
@necozawaemi
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