代わりに見つけた自分の味。【お気に入りカレー】
まろやかなコクと懐かしさ。
幾重にも折り重なるスパイスの厚み。
祖母が生前に1度だけ作った
ダークブラウンのカレーが忘れられなかった。
どうしてもその味をもう一度食べたくて
カレー作りに明け暮れていた時期があります。
どんなルーを使ってもあのコクが出ない。
ならばスパイスから作ってみるのはどうだろうと
小さな瓶をいくつも揃えてみたけれどやっぱり何か違う。
その昔、私は諦めの悪い子どもでした。
二重跳びができなかった頃は朝から晩まで跳び続けたし
マリオカートで1等賞がとれなければ悔しさのあまり
暇があればゲームをしていた。
「こうしたい」と思い描いたことを成し遂げられないのが
どうしようもなく心地悪くて、
ゴールの見えない迷路に迷い込んだような気分になる。
大人になると新しいことに挑戦する機会は減る一方。
そうしてすっかり忘れ去られしものになっていたその感覚が
ここに来てむくむくと顔を出していることに気づいたのは
もう何度目のじゃがいもを洗っている時だっただろう?
幾度もその芽に水をやり、蕾を目にした頃
ようやく一条の光が差し込んだ。
このまろやかさはシチューに似ている。
不確かで、けれど何か確信めいたものを持つ閃き。
そこからは一直線に続く道を走るのみでした。
シチューを作る要領でまずはホワイトソースを仕上げる。
そこにカレー粉、だけでは薄っぺらいから砂糖でコク出し。
あと一歩...
このぼやっとした味を塩で引き締めてみる。
美味しい!
最後のひと匙が花を咲かせ、ようやく視界が明るくなった。
先で待っていたのは、どこか懐かしい味わい。
まろやかで、甘口で、だけどしっかりスパイスの効いた黄色いカレー。
少し給食のカレーにも似ている?
祖母のカレーとは見た目も味も違っているのになぜかしっくりきてしまう。
はて、あの味はどうして出すのだろう。
気にならなくはないけど...まあいっか!
きっとこれは目指していたものを手にする代わりに出会えた
自分の味なのだ^^
5年前に生まれたカレーの物語。
長い道のりだったけれど、何だかいい旅をした気分。
私のオリジナルカレー
作り方はこちら!
(材料)
4〜6食分
・鶏胸肉:300g
・玉ねぎ:小さめ1個
・じゃがいも:2個
・にんじん:1/2本
・豆乳:600ml(調製豆乳、無調整豆乳どちらでもOK)
・炒め油:適量
・小麦粉:大さじ4.5
✳︎コンソメ:大さじ2
✳︎S&B赤缶カレー粉:大さじ2
✳︎きび砂糖:大さじ3
✳︎塩:小さじ3/4
(手順)
①にんじんとじゃがいもはお好みの大きさに切って
レンジで柔らかくしておく
②玉ねぎは薄切りに、鶏肉は一口サイズに切る
③鍋に油を温め、玉ねぎを炒め、火が通ったら鶏肉も加える(弱火〜中火)
④鶏肉の色が変わったところで弱火にして小麦粉を加え
粉っぽさがなくなるまでさらに炒める
⑤④に①と豆乳を入れ、さらに✳︎も加える
弱火でかき混ぜながら煮込み、とろみがついたら完成!